[はじめに]
楽器を全くやったことが無い人でも、演奏できちゃう曲がある。
ジョン・ケージ(1912〜1992)による、「4分33秒」という曲だ。
テレビなどでもたまにとりあげられるこの曲、最大の特徴は、「演奏しない」曲ということである!
演奏者が、何も音を出さず4分と33秒を過ごすのだ。その間に無意識に聞こえてくるざわめきや物音こそが芸術なのだ!という、なんともすごい曲である。
これが実際の楽譜なのだが、そう、音符のひとつも書かれていない!
開いてみると...音符のおたまじゃくしが何も書かれていない。狐につままれた気分。
(いちおう3楽章構成ということらしく、I,II,IIIなる文字があるけど、ぜんぶTACET(=音を出さない)だ)
ざわめきや物音というけれど、いったいどんな曲ができあがるのだろうか。
自分で、「演奏」してみたい。そして、できた「曲」を、楽譜にしてみたい。
どこで「演奏」しようか? 自分の家では出てくる音がだいたい予想できちゃうし、出かけてやってみることにしよう。
最近増えてきたという、ストリートピアノで「演奏」してみようか!あと楽譜にしてみようか! ...というのが今回の出発点である。
家から出て、ストリートピアノで「演奏」してみることにした。
[4分33秒 at 荒川区町屋文化センター]
平日、それも雨の中、都内は荒川区の町屋に来てみた。
ストリートピアノ情報をキャッチして、である。
千代田線町屋駅で降車し...
雨の中を歩き、やってきたのは町屋文化センター。
(昔やっていた、電話での通販番組「日本文化センター」を思わせる名前だ)
傘を畳み、階段で2階にのぼると、ありましたよピアノ。それもグランド。
弾いてる人も聴いている人も、ゼロだ。まぁ、平日それも雨だし...。ピアノから見えない位置に、職員さんが2人くらいいらっしゃって仕事中のようだ。
みんなが弾けるストリートピアノで、演奏せず4分33秒間も過ごす、やはりちょっと申し訳ない気はする。
誰かがきたらすぐ譲ろう、と決意のうえ、演奏を開始した。2022年、5月某日。町屋文化センター2階にて。
「演奏」の録画が、これである。
「演奏」してみての感想。
まず、長く感じる!! すごく長かったよ!!
4分33秒間もじっとピアノ椅子に座ってると、ついついスマホに手が伸びそうになっている自分に気がつく。
(嗚呼、すっかりスマホ脳ってやつか...。)
「演奏」中ということで、ふさわしくない動きはしちゃダメという心理が働く。
それにより、なんというか、手持ち無沙汰になる。それが4分33秒間続く。
普段なかなかできない体験ができたように思う。
長いと感じる以外の感想としては、静かのようでいて結構音は聴こえるものだ、ということだ。
じっと耳をすましていると、遠くから、三線(さんしん)のかすかな音色が聴こえてくるのだ。
自分の「演奏」中、思わず聴き入ってしまった。自分の「演奏」中に、ほかの演奏を聴くって、こりゃいかに。(笑)
それと、「演奏」中にありゃーと思ったことがある。
明らかに聴こえる音量で、自分のおなかが「ごろっ」と鳴ったのだ!! こりゃあ記録に残る...。
恥ずかしいけど、これも「演奏」の一環なのだろう。そう、生演奏だからこその、ハプニングも含めたライブ感に価値がある、と思うことにしよう。
どうしておなかが減るのかな〜 4分33秒を弾くと減るのかな〜
なお、4分33秒の「演奏」を無事終えてから、誰もいらっしゃらないけど演奏後のお辞儀をしました。(笑)
ありがとうございました
[聴き返してみる]
4分33秒の間に、どんな音が聴こえていたのか、箇条書きにしてみることにした。
これが、意外と時間がかかったのだ。何度も、録画の停止と再生を繰り返した...。
それくらい多くの音に、自分は囲まれていたということだ。三線は「演奏」中に気づいたけど、椅子のきしむ音や、ズボンのこすれる音などは、「演奏」中に気づかなかった。そう、聴き落としていたということだ...。
この4分33秒という曲は、我々が聴き落としている音がいかに多いかを、気づかせてくれる。
出ていた音を、大きなカテゴリーとして分類すると、「三線」「椅子のきしむ音」「服のこすれる音」「その他」といったところか。
[楽譜にしてみる]
この、唯一無二のライブ「演奏」を、記録しよう。そう、楽譜にしてみよう。
三線以外の大分類3つ、「椅子のきしむ音」「服のこすれる音」「その他」を、音階(ドレミなどの音程変化)の無い、いわば打楽器とみなすことにした。
楽譜にするとこんな感じでスタートがよさそう
三線の音色は、とても小さい音なので、ppp(ピアニシッシモ)からだ。
そして早速、椅子のきしむ音が入ってきた。
・00:00〜01:03 三線
・00:19〜00:21 椅子のきしむ音 きっ、きききっ、きっ
三線の音色をバックに、ことんという物音や、ズボンのこすれる音も入ってきました。...そして!!
・00:28〜00:28 ことんという物音
・00:33〜00:34 椅子のきしむ音 きききっ
・00:37〜00:37 ズボンのこすれる音 すーっ
・00:39〜00:39 椅子のきしむ音 きっ
おなかが、ごろっと、鳴りました。ライブならではの一興ということで!(笑)
三線の音は止み、暫しの静寂。
・00:43〜00:43 おなかの鳴る音 ごろっ
・01:14〜01:14 椅子のきしむ音 ききっ
いろいろな物音を経て、三線がまた鳴り始めます。バイクの音まで加わります。
あとは、概ねおなじ感じで曲は続いていきます...。
結局、全楽譜は下記のようになった。(pdfはこちら)
2ページという小品ながらも、三線をバックに椅子や服や物音、そして胃、様々な楽器の組み合わさった傑作じゃない?!(笑)
左:ジョン・ケージの楽譜。右:町屋文化センターでの「演奏」の楽譜だぞ
[楽譜をもとに、演奏...できるか?!]
楽譜はできた。できたからには、演奏してみたい。
だが、三線は持っておらず、そもそも自分は弾けない。弾ける友達も近くにはいない。
あと、ピアノ椅子に関しては、タイミングを狙ってきしませるのがちょっと難しそうだ。
(一方で、服のこすれる音は簡単にできそうだな。)
ここは割り切って、下記の編成で演奏を試みた。
三線:ピアノで代用
ピアノ椅子のきしむ音:ウッドブロックのぎーっという音で代用
服のこすれる音:そのまんま。自分の服をこする
写真左:ウッドブロック。ぎーっという音がする。 写真右:ピアノ+ウッドブロック+服 の編成で演奏を試みる
だがしかし。
何とか演奏を開始した中で、あらためて気づいたことがあったのだ。
おなかの音をあのタイミングで出すのは無理だ。何といっても生理現象だし...。
やるからには、このおなかの音は、ほかの音で置き換えたくなかった。是非とも、ホンモノの音が欲しかった。だが不可能だ...。
残念ながら、私の4分33秒の「再演」は、幻と消えたのだった。
[まとめ]
4分33秒を、「演奏」してみると、おのずと様々な音が身体の中に入ってきて、とても時間を長く感じることがわかった。
音を箇条書きにする作業を通じ、静かなようでいても音はたくさんあるということもわかった。
二度とそのタイミングでは再現できないような音、たとえばおなかの鳴る音が、いかに貴重かを、痛感した。
たまには、スマホの電源をOFFにして、じっと耳を澄ましなさい。二度と戻ってこない、かけがえのない音を、感じてみなさい。
...ジョン・ケージが、天国からそう言ってくれているのかもしれない。
たまには、4分33秒を、「演奏」してみよう。いつでも、どこでも、誰とでも。
[エピローグ]
ということで、さっそく、場所を変えて「演奏」してみることにした。
同じストリートピアノでも、毛色の異なるところを選んでみた。
久しぶりの山手線新駅、高輪ゲートウェイ駅。ここにもストリートピアノがあるという情報をキャッチしたため、いってみようと思い立った。
綺麗なプラットフォームを歩き、階段を登るとピアノが見えてきたぞ
様々なデコレーションのされた、かわいいピアノである
周囲には誰もいない。さっそく「演奏」開始してみよう。
誰か弾きたそうな人がいたらすぐに譲ろう。
結果は、工事中ということもあり、かなり騒がしい。(笑)
椅子のきしむ音、服のこすれる音、そしておなかの鳴る音など、町屋のとき聴こえていた音は完全にかき消されている。出る幕が無い。
全部音を拾い出すと下記のとおりだ。止むことのない工事現場の音をバックに、電車がひっきりなしに減速・停車・加速する。アナウンスやメロディも多い。
これぞ、忙しきメガシティ東京を体現した4分33秒ということか。
確かなのは、どの音も、かけがえのない、二度と戻ってはこない音ということだ...。
かくして、私にとって2回目の、長い長い4分33秒間が終わった。
3回目は、いつどこにしよう?! スマホばかり見るのでなく、身の回りのかけがえのない音に耳を傾けながら、考えるとするか。
戻る
楽器を全くやったことが無い人でも、演奏できちゃう曲がある。
ジョン・ケージ(1912〜1992)による、「4分33秒」という曲だ。
テレビなどでもたまにとりあげられるこの曲、最大の特徴は、「演奏しない」曲ということである!
演奏者が、何も音を出さず4分と33秒を過ごすのだ。その間に無意識に聞こえてくるざわめきや物音こそが芸術なのだ!という、なんともすごい曲である。
これが実際の楽譜なのだが、そう、音符のひとつも書かれていない!
開いてみると...音符のおたまじゃくしが何も書かれていない。狐につままれた気分。
(いちおう3楽章構成ということらしく、I,II,IIIなる文字があるけど、ぜんぶTACET(=音を出さない)だ)
ざわめきや物音というけれど、いったいどんな曲ができあがるのだろうか。
自分で、「演奏」してみたい。そして、できた「曲」を、楽譜にしてみたい。
どこで「演奏」しようか? 自分の家では出てくる音がだいたい予想できちゃうし、出かけてやってみることにしよう。
最近増えてきたという、ストリートピアノで「演奏」してみようか!あと楽譜にしてみようか! ...というのが今回の出発点である。
家から出て、ストリートピアノで「演奏」してみることにした。
[4分33秒 at 荒川区町屋文化センター]
平日、それも雨の中、都内は荒川区の町屋に来てみた。
ストリートピアノ情報をキャッチして、である。
千代田線町屋駅で降車し...
雨の中を歩き、やってきたのは町屋文化センター。
(昔やっていた、電話での通販番組「日本文化センター」を思わせる名前だ)
傘を畳み、階段で2階にのぼると、ありましたよピアノ。それもグランド。
弾いてる人も聴いている人も、ゼロだ。まぁ、平日それも雨だし...。ピアノから見えない位置に、職員さんが2人くらいいらっしゃって仕事中のようだ。
みんなが弾けるストリートピアノで、演奏せず4分33秒間も過ごす、やはりちょっと申し訳ない気はする。
誰かがきたらすぐ譲ろう、と決意のうえ、演奏を開始した。2022年、5月某日。町屋文化センター2階にて。
「演奏」の録画が、これである。
「演奏」してみての感想。
まず、長く感じる!! すごく長かったよ!!
4分33秒間もじっとピアノ椅子に座ってると、ついついスマホに手が伸びそうになっている自分に気がつく。
(嗚呼、すっかりスマホ脳ってやつか...。)
「演奏」中ということで、ふさわしくない動きはしちゃダメという心理が働く。
それにより、なんというか、手持ち無沙汰になる。それが4分33秒間続く。
普段なかなかできない体験ができたように思う。
長いと感じる以外の感想としては、静かのようでいて結構音は聴こえるものだ、ということだ。
じっと耳をすましていると、遠くから、三線(さんしん)のかすかな音色が聴こえてくるのだ。
自分の「演奏」中、思わず聴き入ってしまった。自分の「演奏」中に、ほかの演奏を聴くって、こりゃいかに。(笑)
それと、「演奏」中にありゃーと思ったことがある。
明らかに聴こえる音量で、自分のおなかが「ごろっ」と鳴ったのだ!! こりゃあ記録に残る...。
恥ずかしいけど、これも「演奏」の一環なのだろう。そう、生演奏だからこその、ハプニングも含めたライブ感に価値がある、と思うことにしよう。
どうしておなかが減るのかな〜 4分33秒を弾くと減るのかな〜
なお、4分33秒の「演奏」を無事終えてから、誰もいらっしゃらないけど演奏後のお辞儀をしました。(笑)
ありがとうございました
[聴き返してみる]
4分33秒の間に、どんな音が聴こえていたのか、箇条書きにしてみることにした。
これが、意外と時間がかかったのだ。何度も、録画の停止と再生を繰り返した...。
それくらい多くの音に、自分は囲まれていたということだ。三線は「演奏」中に気づいたけど、椅子のきしむ音や、ズボンのこすれる音などは、「演奏」中に気づかなかった。そう、聴き落としていたということだ...。
この4分33秒という曲は、我々が聴き落としている音がいかに多いかを、気づかせてくれる。
出ていた音を、大きなカテゴリーとして分類すると、「三線」「椅子のきしむ音」「服のこすれる音」「その他」といったところか。
・00:00〜01:03 三線 ・00:19〜00:21 椅子のきしむ音 きっ、きききっ、きっ ・00:28〜00:28 ことんという物音 ・00:33〜00:34 椅子のきしむ音 きききっ ・00:37〜00:37 ズボンのこすれる音 すーっ ・00:39〜00:39 椅子のきしむ音 きっ ・00:43〜00:43 おなかの鳴る音 ごろっ ・01:14〜01:14 椅子のきしむ音 ききっ ・01:18〜01:18 椅子のきしむ音 ききききっ ・01:27〜01:27 ズボンのこすれる音 すーっ ・01:30〜01:30 腕を組むときの音 すっ ・01:55〜01:55 遠くの物音 ことん ・02:04〜02:04 遠くの物音 どん ・02:14〜02:14 椅子のきしむ音 きっ ・02:15〜02:15 ズボンのこすれる音 すっ ・02:16〜02:16 椅子のきしむ音 ききききっ ・02:20〜04:33 三線 ・02:37〜02:37 椅子のきしむ音 きっ ・02:44〜02:52 遠くからバイクが来て去っていく音 ぶうううううん... ・03:03〜03:09 車のエンジンをかける音 ががががん〜〜〜 ・03:09〜03:12 腕を組むときの音 すっすっ ・03:14〜03:14 椅子のきしむ音 きっ ・03:21〜03:32 車の音 ・03:25〜03:25 遠くの物音 ごとん ・03:39〜03:39 ズボンのこすれる音 すっ ・03:42〜03:42 遠くの物音 ごとんことん ・04:01〜04:01 腕を組むときの音 すっ ・04:02〜04:02 椅子のきしむ音 きっ ・04:09〜04:09 服のこすれる音 すっ |
[楽譜にしてみる]
この、唯一無二のライブ「演奏」を、記録しよう。そう、楽譜にしてみよう。
三線以外の大分類3つ、「椅子のきしむ音」「服のこすれる音」「その他」を、音階(ドレミなどの音程変化)の無い、いわば打楽器とみなすことにした。
楽譜にするとこんな感じでスタートがよさそう
三線の音色は、とても小さい音なので、ppp(ピアニシッシモ)からだ。
そして早速、椅子のきしむ音が入ってきた。
・00:19〜00:21 椅子のきしむ音 きっ、きききっ、きっ
三線の音色をバックに、ことんという物音や、ズボンのこすれる音も入ってきました。...そして!!
・00:28〜00:28 ことんという物音
・00:33〜00:34 椅子のきしむ音 きききっ
・00:37〜00:37 ズボンのこすれる音 すーっ
・00:39〜00:39 椅子のきしむ音 きっ
おなかが、ごろっと、鳴りました。ライブならではの一興ということで!(笑)
三線の音は止み、暫しの静寂。
・00:43〜00:43 おなかの鳴る音 ごろっ
・01:14〜01:14 椅子のきしむ音 ききっ
いろいろな物音を経て、三線がまた鳴り始めます。バイクの音まで加わります。
あとは、概ねおなじ感じで曲は続いていきます...。
結局、全楽譜は下記のようになった。(pdfはこちら)
2ページという小品ながらも、三線をバックに椅子や服や物音、そして胃、様々な楽器の組み合わさった傑作じゃない?!(笑)
左:ジョン・ケージの楽譜。右:町屋文化センターでの「演奏」の楽譜だぞ
[楽譜をもとに、演奏...できるか?!]
楽譜はできた。できたからには、演奏してみたい。
だが、三線は持っておらず、そもそも自分は弾けない。弾ける友達も近くにはいない。
あと、ピアノ椅子に関しては、タイミングを狙ってきしませるのがちょっと難しそうだ。
(一方で、服のこすれる音は簡単にできそうだな。)
ここは割り切って、下記の編成で演奏を試みた。
三線:ピアノで代用
ピアノ椅子のきしむ音:ウッドブロックのぎーっという音で代用
服のこすれる音:そのまんま。自分の服をこする
写真左:ウッドブロック。ぎーっという音がする。 写真右:ピアノ+ウッドブロック+服 の編成で演奏を試みる
だがしかし。
何とか演奏を開始した中で、あらためて気づいたことがあったのだ。
おなかの音をあのタイミングで出すのは無理だ。何といっても生理現象だし...。
やるからには、このおなかの音は、ほかの音で置き換えたくなかった。是非とも、ホンモノの音が欲しかった。だが不可能だ...。
残念ながら、私の4分33秒の「再演」は、幻と消えたのだった。
[まとめ]
4分33秒を、「演奏」してみると、おのずと様々な音が身体の中に入ってきて、とても時間を長く感じることがわかった。
音を箇条書きにする作業を通じ、静かなようでいても音はたくさんあるということもわかった。
二度とそのタイミングでは再現できないような音、たとえばおなかの鳴る音が、いかに貴重かを、痛感した。
たまには、スマホの電源をOFFにして、じっと耳を澄ましなさい。二度と戻ってこない、かけがえのない音を、感じてみなさい。
...ジョン・ケージが、天国からそう言ってくれているのかもしれない。
たまには、4分33秒を、「演奏」してみよう。いつでも、どこでも、誰とでも。
[エピローグ]
ということで、さっそく、場所を変えて「演奏」してみることにした。
同じストリートピアノでも、毛色の異なるところを選んでみた。
久しぶりの山手線新駅、高輪ゲートウェイ駅。ここにもストリートピアノがあるという情報をキャッチしたため、いってみようと思い立った。
綺麗なプラットフォームを歩き、階段を登るとピアノが見えてきたぞ
様々なデコレーションのされた、かわいいピアノである
周囲には誰もいない。さっそく「演奏」開始してみよう。
誰か弾きたそうな人がいたらすぐに譲ろう。
結果は、工事中ということもあり、かなり騒がしい。(笑)
椅子のきしむ音、服のこすれる音、そしておなかの鳴る音など、町屋のとき聴こえていた音は完全にかき消されている。出る幕が無い。
全部音を拾い出すと下記のとおりだ。止むことのない工事現場の音をバックに、電車がひっきりなしに減速・停車・加速する。アナウンスやメロディも多い。
これぞ、忙しきメガシティ東京を体現した4分33秒ということか。
確かなのは、どの音も、かけがえのない、二度と戻ってはこない音ということだ...。
・00:00〜04:33 終始、断続的にどんどんという工事の物音と、ざわめきのおと ・00:04〜00:04 どしん ・00:08〜00:10 電車が減速して止まる音 ・00:09〜00:09 ぷしゅー ・00:10〜00:15 ドアがあいてふぁらどふぁらどふぁらど ・00:15〜00:31 電車が減速して止まる音 ・00:18〜00:19 ぷしゅー ・00:20〜00:27 うぃーん ・00:28〜00:28 ぷしゅー ・00:35〜00:39 みど x 5 ・00:36〜01:08 みらみしみらそ〜 と、まもなく、2番線に、品川、渋谷方面行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまでおさがりください。(そこから聞き取れない声が続く) ・00:38〜00:38 どしん ・00:42〜00:42 こーん ・00:54〜00:55 どしんどしんどしん ・01:07〜01:28 うぃーーーーん、電車が減速して止まる音 ・01:14〜01:14 しゃかしゃか 駅員さんが消毒液を置き直してくださる音 ・01:25〜01:25 どしん ・01:28〜01:33 ふぁらど x 9 ・01:32〜01:32 どしん ・01:35〜01:44 音階と、2番線、ドアが閉まります、ご注意ください ・01:45〜01:51 みど x 5 ・01:53〜01:53 どしん ・01:55〜02:18 うぃーーーーん、電車が加速する音 ・02:00〜02:00 どしん ・02:08〜02:08 どしん ・02:11〜02:11 どしんどしん ・02:14〜02:14 どしん ・02:20〜02:20 どしん、どしん、どしん、どしん ・02:27〜02:27 どしん ・02:29〜03:00 みらみしみらそ〜 まもなく... ・02:30〜02:30 どしん、どしん ・02:34〜02:34 どしん ・02:41〜02:41 こん、こん、さんさん ・02:46〜02:46 どしん、どしん ・02:50〜02:52 こん、がん、がん、がん、がん、がん ・02:55〜02:55 こん ・02:59〜03:00 こん、がん ・03:00〜03:15 うぃーーーーん、電車が減速して止まる音 ・03:04〜03:04 こん ・03:05〜03:09 ふぁらどふぁらどふぁらど ・03:09〜03:09 こんこん ・03:10〜03:10 こん ・03:16〜03:16 こん ・03:16〜03:20 ふぁらそしらふぁ〜 ・03:19〜03:21 こんこんこん、がん ・03:22〜03:25 ふぁらどふぁらどふぁらど、アナウンス ・03:24〜03:24 こん ・03:26〜03:32 アナウンス ・03:27〜03:27 こん ・03:29〜03:36 しれそ〜 ・03:32〜03:32 こん ・03:37〜03:37 ひゅー、がん ・03:39〜03:43 1番線、ドアが閉まります。ご注意ください ・03:40〜03:42 こん、こん、こん ・03:43〜03:43 こん ・03:45〜03:48 みど x 5 ・03:48〜03:48 こん ・03:52〜03:53 きん、きん ・03:56〜04:20 うぃーーーーん、電車が加速する音 ・04:00〜04:00 こん ・04:06〜04:06 こん、ききん ・04:09〜04:09 どん ・04:11〜04:11 どん ・04:14〜04:14 ばん ・04:14〜04:33 みらみしみらそ〜 まもなく ・04:18〜04:20 ぐしゃっ、どん、どん、どん ・04:26〜04:26 どん ・04:31〜04:32 ちん、どん |
かくして、私にとって2回目の、長い長い4分33秒間が終わった。
3回目は、いつどこにしよう?! スマホばかり見るのでなく、身の回りのかけがえのない音に耳を傾けながら、考えるとするか。
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