北海道、ほっかいどう、Hokkaido。
日本人なら、北海道の形は知っているし、きっといろいろなところで見たことがあるだろう。
そんな中、あることに気づいた。

まず、GoogleMapで出てくる北海道は、下図中の黒矢印が真北だが...


黒矢印が真北ね

このバターのパッケージに描かれた北海道。GoogleMapと見比べると、少しだけ、時計回りに回転させて描かれている??


少し、回転させて描かれているような。


理由としては、何というか「デザイン的に、おさまりをよくする」ためだろうか。
このように傾けて描かれていることが、わりと多い気がしてきた。パンにバターを塗りながら、そう考えた。
そもそも、何度、傾いているんだろうか、この北海道?? 急に、測ってみたくなった。
角度を測るとなると、やはり分度器の出番だろう。しかし、分度器だけでは測れなさそうだ。

そこで思いついた。北海道が、本来の方向よりもどれくらい傾いているか、すぐに測れるようにしよう。
分度器はすでに持っているので、それをあてがう際の、補助器具があるとよさそうだ。よし、作ってみよう。


北海道の傾きを、すぐに測るには? (分度器はすでに持っている)


あらためて、真北を上としているGoogleMapをみてみよう。長い間見ていると、意外と、この青い線が傾いている気がする。
函館あたりの半島にも、「何も無い」と歌われた襟裳岬にも、接する直線だ。



まず、真北を上にした状態で、東西方向に伸びる線(緯線)からみてこの青線がどれくらい傾いているのか。測るところからはじめてみよう。

GoogleMapで、まず緯度経度をみることにする。右クリックで簡単に出してくれる。便利な世の中!
襟裳岬で右クリックすると、北緯41.92528、東経143.24929とのこと。それにしても、襟裳岬って先端はこんなに尖っているんだ...。


襟裳岬の緯度経度を右クリックで表示


お次は、函館近辺でどこに来るか、だ。
襟裳岬にも函館近辺にも接する線はどのあたりかな...と。だいたいこんな感じに線がひけて、接するポイントはこのあたりだ。



拡大してみると、白神崎灯台、とある。右クリックすると北緯41.39998、東経140.19754だ。


緯度と経度は決めることができたが、直線の角度を測るには、座標に直す必要がある。
緯度経度から平面上の座標に変換する方法として、国土地理院でも使われているUTM図法というのがある、しかもオンラインで数値を変換してくれるサイトがある。これまた便利である。http://asp.ncm-git.co.jp/QuickConvert/BL2UTM.aspx
さっそくやってみた。襟裳岬は、X=688503.833[m]、Y=4643926.899[m]となった。
白神崎灯台は、同様にX=432921.238[m]、Y=4583470.837[m]。
エクセルのatan関数を使って傾きをもとめると、角度は13.409442873...度だ!! 約13.4°とわかった。
うーん、数字がたくさん出てきてちょっと頭がクラクラした。(汗)


ここの角度が約13.4°とわかった


さあ、角度が約13.4°ということはわかった。あとは、分度器と組み合わせて使う補助器具を作ろう。
補助器具は、分度器同様に、透明だと使いやすそう。あと、角度を測りたい北海道の形に、あてがうことを考えると、補助器具自体に北海道の絵が描いてあるとよさそう。
このように漠然と考えたうえで、まずはプロトタイプを作ってみた!


これが、北海道の角度を測るための補助器具プロトタイプだ!


使い方は、以下のstep1,2,3だ。

step1 角度を測りたい北海道を用意する。



step2 角度を測りたい北海道の上に補助器具を重ねる。
そして、角度を測りたい襟裳岬と白神崎灯台の両方が、補助器具の線に接するよう、補助器具を動かして止める。



step3 このとき、補助器具の上部にある線が真北方向。その上に、分度器をあてて、真北からのずれを測る。
雪印メグミルクのバターの場合、約9°だった。やっぱり傾いている!



ちなみに、どうやってこの補助器具を作ったかというと。

透明なプレートを用意する。DVD-Rの容器のスペーサーが、透明で、なおかつ円形であり分度器となんとなく相性よさそうなので一発採用!


DVD-Rの容器のスペーサーです。


そして、北海道の絵柄を描いていく。ちょっと古いけど道東のガイドブックがあったので、大きさ的にもちょうどよかったので油性ペンでトレースした。


ガイドブックの地図に描かれた北海道の上に、スペーサーを乗せて...



油性ペンでトレースしていく。


この北海道の、襟裳岬と白神崎灯台、両方に接するような直線をひく。(定規に油性ペンがつく...)

襟裳岬と白神崎灯台、両方に接する直線をひいたぞ


そして、真北に向かう方向に印をつける。分度器と、直角をもつ透明アクリル板を使用し、約13.4°となるようにひいた。小さな黒い印が、真北を示す箇所。


分度器を使って、真北の方向に印をつける


真ん中から、その真北に向かう線を引けば、完成。Nの字も添えてみた。この矢印方向が真北だ。


完成!


さあ測ってみよう。近くに、北海道が描いてあるものは、と...あった。最近私が好きでよく飲んでいる炭酸飲料、北見ハッカ炭酸だ。
ポッカサッポロが出している。薄いけどきちんと北海道が描かれているのだ。
測ってみると、約2°である。ほとんど地図通り、真北を上に描かれているようだ。ただ、ペットボトルの曲面上に描かれているので、正確性が低い可能性はある。

北見ハッカ炭酸は約2°だった



続いて、冷蔵庫の中にあった、タカナシの純生クリーム。北海道の形の中に、いかにも北海道らしい牧場の絵が描かれていてナイス。
ほぼ0°だ!! 地図通り真北を上にして描かれている、といえそうだ。


タカナシの純生クリームは約0°だ


印刷物上の北海道だけでなく、パソコン画面上の北海道でも、もちろん測れる。Google画像検索で少し調べてみると、Mapionの北海道地図は少し傾いていそう


少し時計回りに傾いているよね


パソコン上で表示し、画面上に補助器具そして分度器をあてて測ってみる。約8°傾いている。


Mapionの地図は約8°


この際、いろいろと調べてみよう。
手近で、北海道の形がたくさんゲットできるところとして、思いついたのがアンテナショップである。
JR横浜駅の東口にある、「北海道うまいもの館」に来てみた。


北海道うまいもの館に来たぞ


アンテナショップ内の商品を写真撮りまくることはもちろんできないので、北海道の形が印刷されている商品で個人的に好きなものを、いろいろと買ってみました。
さあ、測ってみよう。


ここにあるもの全部、北海道の形が印刷された商品だ


...と、ここまできて、改めて思ったことがある。
これはあくまでプロトタイプだ。手描きだし、ど真ん中に不自然な穴もあるし。
もうちょっと、しっかりしたものを作ってみよう

北海道の輪郭データを国土地理院から取得してきて、透明なアクリル円盤に印刷し、そこに活字を加えた。
できたのが、これだ。


北海道専用分度器補助器具だ。もっともらしくVer1.0.1と書いてみた。
(なお国土地理院地図で前述の線の傾きを同様に計測したら約13.9°だったので、器具内にも表記している)


写真左:メダルのように噛もうとしてみる。写真右:水戸黄門してみる。
ほとんど透明なので、「目に入らぬか!」→「入りません!」だな。(笑)


なお、手元にある分度器と半径がほぼ同じなので、手に馴染みやすいのではと思う。


分度器と半径がほぼ同じ


下の写真、左が手描きのプロトタイプ、右は印刷版だ。(Ver1.0.1) ちょっとは、もっともらしくなったのではなかろうか。
さあ測ってみよう。


プロトタイプとの比較


こうして13個の商品について、測定は続き...


高島食品 牡蠣カレーに描かれた北海道の角度を測定中。時計回りに約13.5°だ


結果を発表します!
いちばん反時計回りに傾いていたものから、いちばん時計回りに傾いていたものまで、順にならべた写真が下記。


13種類の商品


角度は下記のとおり。(反時計回りに傾いていたものは角度をマイナスで表記)

角度(小さい順)商品
約-10°JA 北海道産にんじんと国産りんご ジュース ← 写真の一番左上ね
約-4°北海道根室産 猫足根昆布
約±0°フリトレー 鮭とばコーンチップス
約±0°伊藤園 北海道とうきび茶
約±0°網走ビール ゴールデンエール (円筒形に印刷されたもののため、不正確の可能性あり)
約+2°山小小林食品 北海道ねばねばたっぷりみそ汁の具
約+5°キリン ファイア 北海道限定ミルクテイスト
約+6°サッポロビール サッポロクラシック (円筒形に印刷されたもののため、不正確の可能性あり)
約+7°道南食品 北海道キャラメル 富良野メロン
約+13.5°高島食品 厚岸名産牡蠣カレー
約+15°小原 ハスカップサイダー (円筒形に印刷されたもののため、不正確の可能性あり)
約+20°藤原製麺 二夜干しラーメン(旭川醤油味、札幌味噌味) ←写真の一番右下ね


映えある(?)反時計回りの角度第1位は...JA、北海道産にんじんと国産りんごジュースでした。
そして、映えある(?)時計回りの角度第1位は...藤原製麺の北海道二夜干しラーメン、味噌味と醤油味のダブル受賞。同じロゴだから当然か。
揃い踏みの写真を紹介します。東西横綱か?!
これにて計測終了なり。


左:反時計回り約10°のにんじんりんごジュース。 右:時計回り約20°のラーメン。



測ってみての感想。

思ったよりも、北海道の角度はバラエティに富んでいる。時計回りが多いかと思ったら、反時計回りに傾いているものも13個中2個あった。
そして、時計回りの最高記録は約20°、思ったよりも傾いている印象。白神崎灯台と、襟裳岬とに接する直線が、右肩下がりだ。こういうのもありなんだ。
デザインって、求められる背景に応じて多様に変わる、ということだろう。北海道、みんな(角度が)違って、みんないい!(笑)

さあ、そこのあなたも、身の回りにある北海道の角度を測ってみませんか?! この補助器具で、簡単に測れるようになったと思います!


補助器具は2個作ってみたので、欲しいかたは差し上げます(笑)


さいごに(その1)。
今回計測した角度は、正確である保証は無い。人の手で計測したものだから、ずれはあると思う。今回の角度によって生じたいかなる結果についても、筆者は責任を有しないのでそこんとこよろしくお願いいたします。

さいごに(その2)。
あらためて、北海道のデザインって、単独で描かれることが多い気がする。
ほかの46都府県も、単独で描かれることはたまにあるとは思うが、北海道ほどではないだろう。
あと、四国や九州も、単独で描かれることはたしかにたまにある。しかしこれも北海道ほどではない気がする。
あらためて、北海道のデザインは世間に浸透していると感じた。
他の都府県などで、同様に角度を計測するための補助器具作ってみるのもよいかも。いちおうこのサイトの主旨として、大分県でやってみるかな!
(そういえば、本州って、単独で描かれることはまず無いね...。)

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